こんにちは、EVライフ編集部です。
日々、多くの電気自動車(EV)関連の新製品や活用方法、ピックアップニュースが登場しています。EVライフでは、電気自動車(EV)との生活をまとめ、整理して発信しています。
今日は多数のEV関連ニュースから注目の情報として「増加中!?中国の電気自動車(EV)の炎上事故多発の危険性を検証!」をEVライフライターが紹介します。
要注意!?中国製電気自動車(EV)が炎上事故多発??
最近、電気自動車の炎上事故が相次いでいます。これにより、電気自動車(EV)の安全性に対する懸念が高まっています。炎上事故の原因は、バッテリーの過熱やショートなどが考えられ、炎上した場合の消火方法も従来のガソリン車とは異なるため、対応に苦慮する場合もあります。
EVメーカーは、安全性に対する取り組みを強化しています。例えば、バッテリーの冷却システムの改善や、炎上時の消火方法の研究などが挙げられます。また、EVの普及に伴い、消防士などの救助隊員に対する訓練も進められています。しかし、EVの炎上事故が減少するまで、安全性に対する懸念は解消されないのでしょうか。まずは現状の電気自動車(EV)の火災の情報を検証していきたいと思います。
中国で電気自動車(EV)の火災事故が多発
中国の緊急事態管理部門によると、中国での電気自動車 (EV) の火災事故の数は、2022年の第1四半期に前年同期に比べて32%増加しました。
同部門は、2022年の第1四半期に合計640件のEV火災事故が発生し、毎日平均7件の事故が発生したと報告しています。
中国での電気自動車(EV)の火災事故例
この問題に直面しているのは、中国の大手電気自動車メーカーであるBYDだけではありません。
23年1月には山東省済南市で、新興EVメーカーの李汽車のワゴン車が炎上しました。 そして同年2月には、中国の大手自動車メーカー、奇瑞(Chery)製の小型EVが充電中に発火しました。 報道によると、この同じモデルは昨年、充電中に2件の火災が発生しました。
電気自動車(EV)の火災事故の増加は、急速に成長している中国のEV市場にとって憂慮すべき傾向です。 政府は、電気自動車の普及と二酸化炭素排出量の削減に多大な努力を払ってきましたが、この事故の増加は、EVの安全性に疑問を投げかける可能性があり、政府と自動車メーカーは協力してこの問題に対処し、消費者にとって EV の安全性を確保する必要があります。
中国におけるEVの火災と一般的なガソリン車の火災事故の比較すると、ガソリン車の火災は100倍多い
電気自動車(EV)での火災が生じているのは事実として、車の火災事故は電気自動車(EV)だけの特有の問題なのでしょうか。
中国のEV火災件数の割合
近年、EVの安全性に対して矢面に挙げられている中国内でのEVについて、2022年12月末時点の中国国内の自動車保有台数について、公安部は2023年1月11日に、合計3億1,900万台に達したと発表した(参照:ビジネス短信)。
このうち、新エネルギー車の保有台数は1,310万台で、全体の4.1%を占めるといいます。全てがBEVとは限りにませんが、詳細のデータがありませんので、1310万台がバッテリーを搭載した電気自動車(EV)として、2022年における第1四半期に合計640件の電気自動車(EV)火災事故が発生したため、年間あたりに換算すると約2560件になります。そのため、中国における電気自動車(EV)の火災の割合は、2560/1310万台になるので、全体の約0.0195%で電気自動車(EV)の火災が発生していることになります。
これは中国で利用されている電気自動車(EV)において、100,000台に20台程度、電気自動車(EV)の火災が生じているということになります。
ガソリン車の火災件数の割合
それでは、ガソリン車の火災件数はどうでしょうか。
アメリカの自動車保険比較サイトAutoinsuranceEZ.comは、火災を起こしやすい電気自動車(EV)、という印象が事実かどうか確認するための調査を実施し、結果を発表しました(参照:AutoinsuranceEZ.com)。
その結果、ガソリン車を含むハイブリッド車は10万台中で3475件、ガソリン車で1530台の火災事故が生じていることがわかりました。割合でいうと、ガソリン車を含むハイブリッド車では3475/10万台=3.48%、ガソリン車では1530/10万台=1.53%となります。
中国内EV火災vsガソリン車火災件数の比較
中国内で起きている10万台あたり20台の火災事故と比べると、ハイブリッド車・ガソリン車ではそれぞれ3475台、1530台であり、およそ100倍ほど多く、ハイブリッド車・ガソリン車で火災が生じていることが分かります。
■車種別の火災発生件数
・電気自動車(EV)の火災@中国:20台/10万台
・ハイブリッド車の火災:3475台/10万台
・ガソリン車の火災:1530台/10万台
以上のことから、最近話題に上がっている中国電気自動車(EV)では、確かに火災事故は発生しているものの、その発生割合はガソリン車やハイブリッド車と比べると桁で少なく、電気自動車(EV)を普及させることで、むしろ自動車の火災発生頻度を大きく低下させられることが分かります。
火災の発生は国によって大きく異なる
なお、火災の発生件数は国や立地によって大きく異なります。
例えば、日本はインフラが非常に整っているため、日本国内におけるガソリン車の火災件数を比べると、8100万台中1250件程度で計算すると10万台あたりに1.5台程度であり、世界と比べると300倍以上ガソリン車の火災リスクが低い結果になっています。
一方、中国におけるEVとガソリン車の火災発生割合を比べるのは有意義ですが、中国でのEV火災発生割合と日本のガソリン車の火災発生割合を比べるのは有意義とはいえません(環境が大きく異なるため、火災発生割合も異なります)。
日本におけるEV利用はこれから伸びる予定なため、その過程の中でEVの火災リスクについて吟味していくことが求められます。
日本における電気自動車(EV)の火災事故
それでは、日本における電気自動車(EV)の火災事故の状況はどうでしょうか。結論からいうと、日本国内において電気自動車(EV)の火災事故の報告は非常に少ない現状です。
日本における電気自動車(EV)の火災事故報告
日本は高い充電インフラに加えて、車両の火災原因となる「放火」などの発生頻度は世界と比べると低く、車の火災事故自体が世界的に見ると少ない国です。では、日本における電気自動車(EV)の火災事故例は実際にどのくらいあるのでしょうか。
国土交通省は、年間における自動車による車両火災の発生件数を報告していますが、当報告の中では「自動車車種別」での火災の発生件数は報告されておらず、国内における車の種類別の火災発生件数の統計的な比較データは整理されていません。また、その他の媒体においても、日本における電気自動車(EV)の火災事故の件数をまとめている情報はありません。
日本における電気自動車(EV)の火災事故の断片情報
EVライフが独自で行なった調査について、Google検索において2022年1月1日から2022年12月31日の期間における「電気自動車 火災」に対する国内ニュース上位100件を調査しましたが、日本国内で生じた電気自動車(EV)の火災事故のニュース件数は「0件」でした。
当調査からも日本の検査体制やインフラレベルにおいて、電気自動車(EV)が火災事故に繋がるリスクは低いことが想定されます。
日本産の日産リーフは販売から34万台で火災事故0件
また、火災事故に対する徹底した電気自動車(EV)の技術対応により、圧倒的な安心感を誇るのが日産のリーフです。
2010年12月の初代リーフ発売から2019年までの10年間、日産は世界初の量販電気自動車(EV)「リーフ」のグローバル累計販売において、34万台の時点において、バッテリー起因の火災を起こしていないことを公式に発表しています(NISSAN)。
電気自動車(EV)の中国国内においては先で紹介のとおり、20台/10万台の割合で電気自動車(EV)の火災が生じていたことを思うと、日産の電気自動車(EV)は圧倒的に高い安全技術を持っていることを意味します。
リーフの車両火災はゼロ。2010年の販売から10年以上をかけて「燃えない」ということを、リアルな世界で実証してきた、電気自動車(EV)の火災リスクに対する説得力は、他に肩を並べるものはなく、圧倒的な存在感を示しています。
> 日産の電気自動車の詳細はこちら
> 日産のリーフの詳細はこちら
電気自動車(EV)の火災の課題と対応
一方、電気自動車(EV)の火災に対するリスクは、ガソリン車やハイブリッド車と比べると頻度の面では低いことが上の調査から分かってきていますが、ではなぜEV火災は多くの物議をよんでいるのでしょうか。
電気自動車(EV)の火災の課題
電気自動車(EV)の火災が大きく注目を集めるのは、電気自動車(EV)のバッテリーの火災が、ガソリンやその他一般の可燃物の火災モードと勝手が異なる点が挙げられています。
電気自動車(EV)のバッテリーには「リチウムイオン電池(LIB)」という電池が使われており(なおLIBは電気自動車(EV)だけでなく、携帯電話やPCなど様々なモバイル機器にも利用されています)、このバッテリーは一度燃焼を始めると、たとえ鎮火したとしても再燃焼を始めるといった特徴が報告されており、従来までの消火の方法を適用すると、再燃焼のリスクなどが指摘されています。
ガソリン車は100年以上の歴史の中で、消火に関する知見が多く蓄えられ、安全な消火に繋がりやすい土壌を育ててきましたが、電気自動車(EV)の火災対応はまだ10年前後の蓄積しかなく、EVに適した消火手法の確立は発展途上にあります。
電気自動車(EV)の火災の対応
上の火災モードの違いに対応するために、世界各国ではさまざまなEV火災の対応方法が検討されています。そうした中、スペインの消防士チームが巨大な難燃性ブラケット1枚を用いただけで電気自動車(EV)を消火する様子を撮影したYoutube動画が注目を集めています。
この動画は、ブリッジヒル社が開発した「カー・ファイヤー・ブランケット」をスペインの消防チームがテストするものです。このブランケットで、発火させた電気自動車(EV)を難燃素材の大型ブランケットで覆い、サーモセンサーで温度を確認しながら消火する様子を記録しています。
最初に、用意された日産リーフが火であぶり加熱されます。1080度まで加熱され、バッテリーが燃え始めたところで消火を始めます。車全体をブランケットで覆い、空気が入らないようにします。ブランケットの内部で酸素が遮断され、火の勢いが弱まり、10分後には内部温度は100℃強に落ち着きました。
しかし、消防チームが一度ブランケットを撤去すると、車体温度は160℃になってい、すぐに再度出火しました。これが電気自動車(EV)の厄介なところで、ブランケットを撤去してからわずか2分の間に再び炎が燃え上がったため、消防チームは再びブランケットを被せました。
ブリッジヒル社は、最低でも1時間はブランケットをかけたままにしておく必要があるとコメントしています。動画内では完全消火には至りませんでしたが、難燃性のブランケットを使った電気自動車(EV)の消火は可能と言われています。
電気自動車(EV)の消火方法は、従来のガソリン車とは異なるため、初期の頃には多くの時間と大量の水を使っていました。しかし、現在では電気自動車(EV)の火災に対する理解が広まり、訓練教育も進んでおり、有効な消火方法が確立されつつあります。こうした知見が世界横断的に速やかに共有され、EV火災の適切な鎮火方法が一般的に拡まれば、より安心したEVライフを過ごせるようになります。
まとめ:電気自動車(EV)の火災リスクを正しく知り、安心なEVライフを
本記事は「増加中!?中国の電気自動車(EV)の炎上事故多発の危険性を検証!」について紹介しました。
電気自動車は、持続可能な輸送手段の未来として期待されていますが、最近の中国での電気自動車の火災事故の報告により、電気自動車の安全性について懸念が生じています。しかし、ガソリン車との火災事故割合を比べると、電気自動車(EV)が特段高くて危険という訳ではなく、全体的な安全性と環境への影響に関しては、EV が従来のガソリン車よりも安全な選択肢であることは注目すべきポイントです。
中国が EV 市場の開発と成長に投資を続ける中、政府と自動車メーカーが安全対策を優先し、EV の火災事故に関連する問題に対処することも重要です。 そうすることで、新興で信頼をおけないEVのメリットが、潜在的なリスクを上回り続け、消費者が運転する車両の安全性に自信を持つことができるようになれると思われます。
読んで下さりありがとうございました。
それでは良いEVライフを!