最近、電気自動車(EV)という言葉を耳にすることが多くなりました。
一方で、
「電気自動車って何?」
「どれが電気自動車なの?」
「電気自動車だから何が良いの?」
こんな疑問を耳にします。
持続的な社会の実現に向けて、電気自動車の導入が1つの鍵になる可能性はとても高いです。
本記事は「電気自動車(EV)とは?小学生でも分かる簡単な見分け方を紹介!」について紹介します。電気自動車の利用を検討している方の参考になれたら嬉しいです。
電気自動車とは?
はじめに、電気自動車についてカンタンに紹介します。
電気自動車とは?
電気自動車とは、車の中にある電池に電気を使って充電し、その電気を使ってモーターを回して走る車のことです。
風力発電や太陽光発電などの再生可能エネルギー(または自然エネルギー)から充電すると、究極のエコカーになるために、とても注目されています。
電気自動車のメカニズム
電気自動車のメカニズムは、電気を使って走ることです。
とても簡単な例に「ミニ四駆」があります。ミニ四駆は電池を使ってモーターを回し、走ることのできる車で、小学生でも作ることのできるとても簡単な仕組みで出来ています。
実際の電気自動車の場合は、さまざまな制御があるためにもっと複雑なシステムになっていますが、本質的な部分だけを抜き出すと「電気を使ってモーターを回して走っている」という点になります。
電気自動車の種類
最近の車の種類をみると、アルファベットだらけで、どれがどれだか分かりにくいですよね。PHEVやBEV、PHEVやFCVなど、非常に多くの略称で自動車の種類が「通称」として扱われています。車は、ガソリンの利用や電気の利用によって分類分けがされていて次のとおりになります。
参照:synthesist
この表の中で、電気自動車は1番左の列の上から7番目の「電気自動車」であり、通称は「BEV」になります。BEVとは「Battery Electric Vehicle」の頭文字をとった略称になります。「Battery Electric Vehicle」とは日本語の直訳で「バッテリー電気の自動車」となり、電気のみの充電・駆動原理で走行することができる自動車を意味します。
注意)「電気」自動車と「電動」自動車の違い
上の「電気自動車の種類」の表の中には「電動自動車」という種類があり、電動自動車には「ハイブリッド車・プラグインハイブリッド車・電気自動車・燃料電池車」の4つにマル付されています(緑部分)。そのため、電気自動車と電動自動車は異なる意味で使われます。
電気自動車は「電気のみ」の車
電気自動車は、電気を充電し、電気を使ってモーターを回して走る車になります。車を走らせるエネルギーにガソリンや水素、天然ガスやメタノールなどの燃料を一切使用しない自動車です。第一の自動車としての特徴は、走行中の排出物が全くないことです。走行のために燃料を使用しないので、排出するものは何もありません。代表的な車としては、日本メーカーの日産のリーフや、アメリカメーカーのテスラのモデル3、中国メーカーのBYDのATTO3などがあり、日本の中でも多数の販売が始まりつつあります。
電動自動車は「電気を活用する」車
電動自動車は、◯◯(燃料)で電気を充電し(作り)、電気を使ってモータを回して走る車を意味します。例えば、ハイブリッド車の場合、ガソリンを使って電気を作ります。燃料電池車の場合、水素を使って電気を作ります。代表的な車としては、たとえばハイブリット車(HEV)としては、トヨタのプリウス(HEVモデル)やアクア、ホンダのフィット、日産のe-powerとして知られる新型セレナ、オーラやノートなどが挙げられます。また、水素を燃料として捉えた場合の燃料電池車(FCV)としては、トヨタのMIRAI、韓国メーカーのヒョンデ(ヒュンダイ)のNEXO(ネッソ)などが挙げられます。また、電気と燃料活用の合いの子であるプラグインハイブリッド(PHEV)も電自動車に分類され、代表車種としては、トヨタのプリウス(PHEVモデル)、三菱のアウトランダー(PHEVモデル)、マツダのCX-60などが挙げられます。
両者はとても似た言葉ですが、電動自動車の方が、広い意味になります。同じ「電」がつくために混同されやすいですが、電動自動車にはガソリンを使用するハイブリッド車も含まれるため、しっかりと違いを抑えておきましょう。
電気自動車(EV)の歴史
電気自動車(EV)の普及は2020年前後で耳にするようになってきましたので「新しい車」という印象がありますが、実はとても古くから存在する車です。
歴史を辿ると、そもそも「普及型自動車」が生まれようとする1890年代、フォード・モーターの創始者ヘンリー・フォードは、かの天才トーマス・エジソンが経営する「エジソン電気会社(エジソン照明会社)」に勤め、仕事の傍らに自動車の心臓部である内燃機関の個人的な自作を検討し、1896年に自作4輪自動車の製作に成功しています。同年、エジソン電気会社の代表者会議が行われる中、フォードとエジソンが顔を合わせ、自動車に関する議論を交わしていました。その際、フォードは、当時の電気王エジソンからも「ガソリン車」の有望性にお墨付きをもらい、自身のガソリン車に対しる自信を深めたと言われます。
一方、当時の自動車開発は動力別で「蒸気自動車」「電気自動車」「ガソリン自動車(フォードが上記で開発)」の3つのモデルが検討さえており、いずれも1900年代前半に市場に出回っていました。また、1900年には、アメリカで生産された自動車4192台のうち、28%が電気自動車であったことも報告されており、十分なシェアを取ることに成功していました。ただ、当時の電池は容量が小さく、モーターも弱く、出力が低いために非常に遅いという点もあり、時代はガソリン車を軸に成長していき、電気自動車の販売は下火となりました。その後は長くガソリン車が中心となり、100年もの間、モビリティの時代を築くことになります。
しかし変換点となったのが、ノーベル化学賞を受賞した吉野彰氏が開発した「リチウムイオン電池(通称、LIB)」であり、とても高いエネルギー密度(軽くて多くの電気を蓄えることができる)を持つ二次電池の実用化に成功し、そこに注目したテスラを中心とした電気自動車メーカーの開発により、電気自動車が安全性を保ちながら長い距離を走ることが出来る様になり、電気自動車(EV)は再度、日の目を浴び始めて今日に至ります。
電気自動車の良いところ(メリット)のおすすめ3点
電気自動車の良いところのおすすめ3点を紹介します。
✔︎電気自動車のおすすめ3点
①環境に優しい(気候変動対策)
②燃料代が安い
③(今後)スタンドに行く回数が減る
①環境に優しい(気候変動対策)
電気自動車の良いところの1つは「環境に優しいこと」で、気候変動の対策につながります。
今までに主流だった「ガソリン車」は、ガソリンを燃焼させ、その力で走っています。ガソリンを燃料させるとCO2(二酸化炭素)という排気ガスを発生し、そのCO2(二酸化炭素)は地球温暖化の原因となり、気候変動の加速に繋がってしまっています。
電気自動車は、電気だけで走るので、CO2(二酸化炭素)を含む排気ガスを発生しません。そもそも、昨今の電気自動車ブームの火付け役として知られる車メーカー「Tesla(テスラ)」のミッションは二酸化炭素の原因である「石油からの脱却」であり、動力を総合的に考えると、各種の自動車の中では電気自動車が最も環境に優しくなりうる、と考えられます。
一方、電気自動車を環境に優しくするためには大きく下の2つの重要なポイントがあり、これら2つを掛け合わせることが今後の課題になっています。
再生可能エネルギー源の利用(一般の人ができる)
電気自動車に充電する電気を「火力発電(石油・石炭を使って電気を発生させる発電方式)」から作っていたら、排気ガスを発生させる場所が車本体から発電所に変わっただけで、気候変動への温室効果ガス削減に対する対策としては本質的には完全には変わりません(注意:発電効率は変わるので環境的には改善されます。)。
電気自動車を「より環境的」に使いたい場合は、充電する電気を再生可能エネルギー(風力発電、太陽光発電、水力発電、バイオマス発電など)に変えることで、真にCO2(二酸化炭素)を発生させない究極のエコカーの利用になります。自分が使用している「電気の作られ方」を変えるため必要なことは「電気供給会社・プランの見直し」です。現在は、クリーン性に対する取り組みや意識が向上したことから、電気会社からは「電源構成(≒発電原理の割合)」を公表している会社もあるため、電気プランの見直しによって電気自動車の利用の改善効果、ひいては普段使っているエネルギーの脱CO2化、EVの環境性向上に繋がります。
原材料・生産における脱石油化(メーカーができる)
また、電気自動車の脱石油化における現在の課題の1つは原材料・生産におけるCO2排出性の問題です。
ガソリン車などと違い、電気自動車は電池をたくさん使っています。現在、電気自動車に使用されている多くの電池は「リチウムイオンバッテリー(LiB)」であり、LiBの構成はカーボン材料や有機電解液などたくさんの「炭素(C)」を含んでいるため、仮に車を燃やして廃棄する場合には、ガソリン車に比べて、電気自動車では多くのCO2(二酸化炭素)を出してしまいます。そのため、電気自動車をより環境的に優しくするには「バッテリーの再利用」や「バッテリー構成の脱石油化」が今後の注目になっていくと話題になっています。
②燃料代が安い
電気自動車の良いところの1つは「燃料代が安い」ことです。
「燃料」と言っても、電気自動車では燃料は使わず電気を使うのですが、金額面でいうと「同じ距離をガソリン車または電気自動車で比較した時に、電気自動車の方が安くなる」ということです。
燃費20km/Lのガソリン車と電費6.25km/kWhの電気自動車で比較すると、kmあたりの金額は次のとおりです。
・ガソリン車:820円/100km
・電気自動車:400円/100km
(ガソリンを165円/L、電気代を25.19円/kWhとして計算)
現在のところでも、同じ距離を比較すると、電気自動車の方が半分ほどの値段で走ることができ、お得になります。また、燃料費用だけでなく、自動車税が安くなることで、EVでは車の維持費を下げることができます。次世代環境自動車に対する減税、免税制度があることや、自動車税の1つの「自動車税種別割」は車の排気量に応じて課税されますが電気自動車(EV)の場合は排気ガス自体がでないために最低の課税ランク(ガソリンの軽自動車と同等)になるために税金の支払いを抑えることができます。
関連記事:【完全版】電気自動車(EV)の維持費の全てを紹介(自動車税・電気代・車検費用・保険料など)
③(今後)スタンドに行く回数が減る
電気自動車の良いところの1つは「スタンドに行く回数が減る」ことです。
電気自動車は、いわば携帯電話のような「家電」です。携帯電話を充電するために、わざわざ充電スタンドまで行きませんよね。電気自動車も携帯と同じように家のコンセントから充電できるため、今後の電気自動車の台数の増加に伴って、充電スタンドの設置がスムーズに拡大していくと、現在あるような「充電スタンド(現在はガソリンスタンド)」が増えるのではなく、駐車場に備え付けの「駐車場
設置式の充電スタンド」が増えていくことが想定されます。その場合、電気自動車の充電は家に帰ってこればOKなので、現在のようにわざわざスタンドに行って補給する必要がなくなってきます。スタンドに行くには、時間もお金も燃料もかかるため、損失が大きいのです。携帯を充電する感覚で自動車を充電できるのが電気自動車の良さの1つです。
この他にも電気自動車(EV)のメリットは、運転の静粛性などもあり、一方でガソリン車等と比べた際の違いによるデメリットもあります。各種まとめているのでぜひご参考にして下さい。
関連記事:【オーナー解説】電気自動車(EV)のメリットとデメリット
電気自動車の超簡単な見分け方2点
電気自動車の特徴を説明してきましたが、実際、街中で走っている電気自動車を知るためにはどこを見れば良いのでしょうか?
簡単な見分け方を2つ紹介します。
✔︎電気自動車の見分け方
①マフラーがない
②充電スタンドで充電している
①マフラーがない
電気自動車(EV)にはマフラーがありません。従来までの車の後ろ側には排気ガスを出すための「マフラー(丸い筒のようなもの)」が付いていました。しかし、電気自動車では排気ガスが出ないためにマフラーが必要がないために、マフラー自体がありません。後ろから車を見て、排気ガスの出る筒がない場合、電気自動車である可能性が高いです。(デザインを重視し、マフラーを隠すようにしているガソリン車もあるため、よく見る必要があります)
②充電スタンドで充電している
電気自動車の見分け方の1つは「充電スタンドで充電しているか」です。
これはとても簡単で、充電スタンドは現在の規制の都合、ガソリンスタンドに併設することはできません。そのため、ガソリンスタンドで電気自動車を充電することができないため、電気自動車は専用の充電スタンドで充電しています。
最近、今までは見かけなかった場所で、自動車が線で繋がれて給油しているような姿を見ることはないでしょうか?
それはまさしく電気自動車が充電されている状態であり、電気自動車を見分ける最も簡単な方法です。
電気自動車の充電とは?
電気自動車(EV)を充電するには、ガソリン車の給油とは方法が異なります。
電気自動車(EV)の充電とガソリン車との違い
電気自動車(EV)の充電でガソリンの給油と大きく異なる点は「ガソリンスタンド」のような巨大なステーションが少ないことです。電気自動車(EV)の充電は、ガソリンのような消防法に対するリスクが小さいために、自宅の車庫やレンタル駐車場の一画にコンパクトに作ることができます。そのため、目立ちにくいことが難点です。
電気自動車(EV)の充電とは
電気自動車(EV)の充電とは、電気自動車(EV)に充電ケーブルを挿し込んで電気を入れて充電することを言います。最も類似な方法としては「携帯電話の充電」があります。携帯電話の充電では充電ケーブルのコネクタを携帯電話に差し込むと充電が始まります。電気自動車(EV)の充電も基本的には同じで、電気自動車(EV)の充電口に充電ケーブルのコネクタを差し込むことで充電することができます。
関連記事:電気自動車(EV)の充電スタンドについて
電気自動車(EV)の充電の時間
電気自動車(EV)の充電はガソリン車の給油と比べて補給に時間がかかります。電気自動車(EV)に搭載されているバッテリーの容量や充電するときの充電スタンドの出力(どれだけ早く多くの電気を充電するか)によって大きく異なります。現在販売されている電気自動車(EV)の多くは数十kWhのバッテリーを搭載されており、汎用的な普通充電(4kW)では10時間程度、急速充電(50kW)では50分程度で充電が満タンになります。
関連記事:電気自動車(EV)の充電時間はどのくらい?
電気自動車(EV)の集合住宅での充電
一戸建ての住宅に住んでいる人は、充電器の設置については世帯の判断で実施できますので比較的にカンタンにEV充電環境を構築できます。一方、集合住宅(マンションやアパート)の場合は、大家さんや複数に跨る所有者からの了解がないと設置できません。こうした問題に対して、現在は多くの「集合住宅向けEV充電器導入サービス」が登場してきており、EV充電器の導入から集合住宅の住民による充電器利用の管理まで、カンタンに導入できる基盤が整いつつあります。
関連記事:どうすれば?】マンション・アパート・賃貸における電気自動車(EV)の充電方法
電気自動車(EV)の普及率
電気自動車(EV)の普及率、普及状況について紹介します。
電気自動車(EV)の普及率
FOURINは「世界電気自動車年鑑2023」において、2022年における電動乗用車(BEV、PHEV、FCEV 注)EVのみではありません)の各国市場におけるシェアをまとめています。グラフは縦の軸がシェア、横軸が実際の導入台数になります。2022年は過去に例を見ないほどに多くの電動自動車の普及が進み、各国におけるシェアがとても大きくなりました。
北欧諸国では、ノルウェーのシェアが著しく高く90%弱を記録しています。アイスランド、スウェーデン世界平均と比べると高い水準にあり、55%を上回るシェアをマークしています。平均して北欧諸国では平均的なシェアが非常に高く、環境意識の高さからなるもの、各国の助成施策の賜物ともされています。
台数として大きいのは自動車大国である、中国、ドイツ、米国であり、数十万台を超えるオーダーになります。特に中国では年間520万台と、世界各国と比べると一桁高い電動車の導入を達成しています。これも、昨今の中国における環境意識の向上、国の補助の効果とされています。
グラフの整理対象の23カ国では、日本の導入シェア率が最下位で数%に留まります。これは、日本人の利便性と環境性を天秤にかけた際の「ソーシャルグッド意識(金額が高い、または利便性が下がる場合でも社会的に良いことに対して購買を選択する意識)」の低さが1つの要因であると分析されています。
電気自動車(EV)の普及予測
では今後、世界と日本において、どのように電気自動車(EV)が普及していくのでしょうか。
世界においては、過去から想定されていたよりもずっと早い勢いで電動化が進んでいます。上のグラフでも示した通り、2022年時点で、電動車のシェアがすでに10%を超える国々が多くなり、世界全体における電動車の販売台数は年間1000万台を超えました。
今後、各国の補助金との減額等により成長は緩やかになる見通しも挙げられていますが、2030年には概ね4000〜5000万台にのぼり、2035年にはさらに上昇するとされています。節目としては、2030年、2035年が挙げられており、環境先進国では2030年までに、その他でも2035年にはガソリン車からの脱却を宣言しています。
〜2030年までにガソリン車対応を宣言する国々
ノルウェー:2025年までにガソリン車・ディーゼル車・HV車・PHEVの新車販売を禁止
スウェーデン:2030年までにガソリン車・ディーゼル車・HV車・PHEVの新車販売を禁止
オランダ:2030年までにガソリン車・ディーゼル車・HV車・PHEVの新車販売を禁止
イギリス:2030年までにガソリン車・ディーゼル車・HV車・PHEVの新車販売を禁止
アイルランド:2030年までにガソリン車・ディーゼル車・HV車・PHEVの新車販売を禁止
インド:2030年までに販売台数の30%をEVとする
〜2035年までにガソリン車対応を宣言する国々
中国:2035年までに全ての新車販売でガソリン車を禁止
米国:CA、NYを含む12州で2035年までにガソリン車の新車販売を禁止
日本:2035年までにガソリン車の新車販売を禁止
ドイツ:2035年までにガソリン車・ディーゼル車の新車販売を禁止(e-fuelを除く)
インド:2030年までに販売台数の30%をEVとする
フランス:2035年までにガソリン車・ディーゼル車の新車販売を禁止
日本の導入率が低い理由についてもまとめているので、ぜひご参考にして下さい。
関連記事:【2030年】普及しない?電気自動車(EV)の今後・将来予測
電気自動車(EV)の環境性
電気自動車(EV)は「環境性」の観点から世界での導入が進んでいるため、電気自動車(EV)の環境性について紹介します。
環境性が議論される背景① 気候変動
そもそも、なぜ環境性が議論される必要があるのでしょうか。
①地球の温室効果を発見
地球がなぜ暖かいのか?という点について、英国王立研究所のジョン・ティンダル氏が1861年、二酸化炭素(CO2)などの大気に見られる特定のガスを検証した結果、二酸化炭素などの特定のガスが太陽からのエネルギーを吸収し、地球を温めている「温室効果」を発見しました。
②二酸化炭素濃度の増加での気温上昇の危険性指摘
産業革命が起こった後から、多くの二酸化炭素(CO2)が大気に放出されるようになったため、大気に放出される二酸化炭素が地球の平均気温を上昇させてしまうのではないか、という懸念が生じました。その点について、スウェーデン王立工科大学のスヴァンテ・アレニウス氏は1896年、上記のチンダル氏の結果を使い、二酸化炭素増加に対する全地球気温の感度を推定しました。その結果、人が放出する二酸化炭素の量の規模でも、地表温度に影響を与えてしまうことを指摘しました。
③二酸化炭素の増加と地表温度の相関を確認
1938年、一般の技術士であったカレンダー氏は、蒸気機関の技師でありながら、温暖化の影響を報じる新聞や雑誌の記事に興味を持ち、膨大なデータを綿密に解析しました。その結果、地球の平均気温が1890年から1935年にかけて疑いなく上昇したと述べ、この上昇温度は0.5℃に近い値であり、多くの科学者の興味を集めました。
④IPCCの報告で「人為性」を断定
そこからは、温暖化推進派と温暖化懐疑派などの対立から、長い期間、「人間活動が地球温暖化に影響を与えるのは真実か」という議論がなさ、温暖化対策は50年以上遅々として劇的な進歩を見せませんでした。そうした中、人間活動と温室効果、気候変動の関係について、世界的な研究を集約し、評価する機関として「IPCC」が割り当てられ、評価報告を出しました。各報告書とその結論をまとめると次のとおりです。
第1次報告書(1992年)(FAR)
人間活動のため大気中の温室効果ガス濃度が上昇。それにより将来地球の表面温度が上昇する。
第2次報告書(1995年)(SAR)
地球温暖化対策の緊急性・重要性を示唆する新たな科学的知見を示した
第3次報告書(2001年) (AR3)
人間活動が気候変動の主な原因である可能性が高い(66%以上)
第4次報告書(2007年)(AR4)
人間活動が気候変動の主な原因である可能性が非常に高い(90%以上)
第5次報告書(2014年) (AR5)
人間活動が気候変動の主な原因である可能性が極めて高い(95%以上)
第6次報告書(2022年) (AR6)
人の活動が気候変動に及ぼす影響は「疑う余地がない」
2022年には、人間活動の気候変動に対する影響が「疑う余地がない(=100%)」となり、ついに世界は人間活動の対策に向けて舵を切ることを余儀なくされました。
参考:【警鐘】気候変動とは?歴史、原因、現状の進捗度と影響、対策と未来の全てを紹介
環境性が議論される背景② 気候変動の現状と身近な影響
「でも対策をすれば温室効果を抑えられて気候変動もおさまるでしょう」。というのが一般論ではありますが、人間活動による地表面の温度上昇とその影響について、現状はどうなのでしょうか?
温暖化の分水嶺
産業革命以前と比べて「1.5℃」の上昇が世界的な環境を考える上での分水嶺(後戻りできない程の臨界点)であるとされています。これは2018年にIPCC総会で承認された内容で「IPCC 1.5℃特別報告書」として整理されています。
温暖化の現状
さて、温暖化の現状はどうでしょうか。上のグラフはIPCC AR6で取り上げられている世界の平均気温の推移になります。年により上下しますが、着々と地位球の平均気温偏差が上昇していることがわかります。産業革命以前とされる1850-1900年の気温(上のグラフでは1890-1900年の気温)と比べると、2011-2020年平均で1.09度上昇していることが分かりました(なお、日本に限定すると日本の年平均気温がこの100年で1.24℃上昇したことが気象庁により報告されています。)。昨今の温度上昇の速度は著しく、現状の世界の政策の延長では、2030年には1.5℃に達すると予測されており、1.5℃まで猶予がないことがわかります。
温暖化による被害の現状
2023年7月10日は九州北部で大雨に遭い、大きな被害が生じました。昨今では「記録的な大雨」「記録的な暑さ」と言う聞く日が「当たり前」になってきました。2023年の7月には世界の平均気温が更新される報道が流れる一方、日本では大雨による被害が後を絶えません。特に島国の日本は周囲が海に囲まれていることもあり、水害の影響を大きく受けています。国土交通省は次のように報告しています。
我が国では、洪水や土砂災害を引き起こす大雨や短時間強雨の回数が増加している。
大雨について、日降水量が200mm以上となる年間の日数を「1901年から1930年」と「1990年から2019年」で比較すると、直近の30年間は約1.7倍の日数となっており、長期的に増加している。
また短時間強雨について、1時間降水量が50mm以上となる年間の回数を「1976年から1985年」と「2010年から2019年」で比較すると、直近の10年間は約1.4倍の発生回数となっており、同様に長期的に増加している。
参考:国土交通省
温暖化で今後に起こること
IPCCの調査によると、各国が現状の政策のまま進むと、次のように地球の温度が上昇していくと想定されています。
+1.07℃(現状)
+1.5℃(2030年)
+2.0℃(2050年)
+2.7℃(2100年)
また日本銀行の調査(気候変動に伴い日本の金融機関が直面する物理的リスク―水害が実体経済・地価・金融機関財務に及ぼす影響を中心に―)によると、2100年の日本の河川氾濫による水害被害額を地球科学のモデルを用いて試算した場合、2100 年の水害被害額は 2020 年の9倍になることが報告されています。単純な比例計算を仮定すると、現状の水害が年間で9倍に増える、という状態が今の生活の延長にある2100年の姿です。
電気自動車(EV)と気候変動の関係
さて、背景部分が長く続きましたが、電気自動車(EV)と気候変動の関係について紹介していきます。
気候変動要因の温室効果ガス内訳
気候変動の原因になる温室効果ガスのうち、二酸化炭素の排出割が最も大きいために、その削減に注目が集められています。
二酸化炭素削減目標と効果
家庭から排出される二酸化炭素のうち、1位は電気で46.8%、2位はガソリン(自動車等)で23%になり、1.2位の合計で69.8%になります。このうち、二酸化炭素の排出目標は現状から約55%減らすこととされています(気候変動アクションガイド、参照の中では生活だけではなく、「日本人一人が生活の中で排出するCO2に対する削減量(7.1t→3.2t)」で表現されています。
この観点で最も影響が大きいのは使用している電気を「再生可能エネルギー」由来のものにすることで46.8%の効果があることが分かります。そして次に効果が大きいのがガソリンの利用を減らすことになり、つまりガソリン車からEV等の電動自動車にシフトすることになります。
電気自動車(EV)のCO2削減効果
23%のガソリンによるCO2排出のうち、電気自動車(EV)に変えることが、どれほどのCO2を削減できるのでしょうか。世界最高峰の研究機関であるMITが関連するMIT-Lab.が提供する自動車のライフサイクルを考慮したCO2排出量において、利用する電気生産時のCO2排出が0である場合(再エネ100%の場合)、マイルあたりのCO2排出量は下のようになります。
黄色がEV、黒がガソリン車を示します。この結果から、平均値としてはガソリン車で約470(gCO2eq/mile)、電気自動車(EV)で約80(gCO2eq/mile)であり、ガソリン車からEVに乗り換えることでガソリンにおけるCO2排出を約83%減らせることが分かります。
全体的に見た二酸化炭素の削減効果としては、家庭での23%であったガソリンからのCO2排出を、ガソリン車から電気自動車(EV)に乗り換えることで約4%まで減らすことができると推定できます。
電気自動車(EV)の生活(航続距離・充電の実体験の話)
EVではどれくらいの長距離の旅が出来るのだろうか?電気自動車(EV)で長旅をした際の寄稿を参照します。
実体験に使われた電気自動車(EV):日産リーフ
今回の実体験で使用された電気自動車(EV)は日産が提供するリーフのXVセレクション(40kWh型)になります。公称の航続距離は322km(wltcモード)になり、現在日本で販売されている全EVの航続距離の平均が450kmになるために、航続距離としてはやや短めの電気自動車(EV)になります。
この電気自動車(EV)で長旅をする場合、どのようなドライブになるのでしょうか。2つのドライブ例で紹介します、早速みていきましょう。
EVライフ①(東京駅〜軽井沢ショッピングモール〜長野県飯山市)
スタートは東京駅の八重洲口。この時の充電率は98%でほぼ満タンな状況です。友人を駅でピックアップして早速出発。ここから、首都高を使って北上し、埼玉の和光北ICを通過、この時で残量はまだ84%とかなり余裕のドライブです。
さらに北西に向かって関越を進みます。景色は自然が増え、気持ちの良いドライブに。埼玉は意外と大きく、群馬県の手前の上里サービスエリアを通過するときには出発の東京駅から距離で107km、残量が38%に。まだ4割弱の余力があります。
そこから、上信越を使って西に進み、甘楽PAを越え、横川SAを越え、いざ長野県へ。軽井沢の付近に来ると、高速上で残量15%程度に。碓氷軽井沢ICから下道になり、下りが続き(下りだとほとんど電気が減らない)、残量8%を残して、軽井沢ショッピングモールに到着。プラザに到着してからは、早速リーフを充電開始。軽井沢のプラザには普通充電が多数、急速充電が2基あります。充電中はプラザ内のレストランを散策し、ランチを取りました。プラザ内のクアアイナで食べたハンバーガーは、景色と空気の美味しいさと合わさり、絶品でした。
昼食を終え、リーフの充電も急速充電の上限の30分で完了。30分の利用で20.9kWh(残量8%→60%)に充電することができ、値段は990円。最近は東京内だと無料の急速充電を容易に見つけられるので、少し高く感じます。
お腹も満たされたところで、目的地の飯山へ。引き続き上信越を使って西に登り、途中から北上し千曲川さかきPAを超え、松代PAをすぎ、豊田飯山ICから下道へ。残量60%で不安でしたが意外と減らず、残量26%で飯山駅に到着しました。
そこでまた知人と合流し、近場のお店で信州そば、煮込みうどん、大なめこの天ぷらを頂き、いずれも土地の味を楽しめる、素晴らしいご飯でした。
今回は、東京から長野県北側に位置する飯山市までの片道の総走行距離で277kmのEVドライブで、充電の立寄りは1回で急速充電を30分間で20kWh程度を充電したので、満充電(100%)あたりで実際の走行距離では223kmになりました(公称値はwltcで322kmなのでかなり短め。)。やはり電力の消費の消費は、土地の高低差の影響を大きく受けた印象を感じます。標高をまとめると、東京駅(29m)、軽井沢のプラザ(939m)、飯山駅(330m)で、それぞれの充電の減り方は、東京駅ー軽井沢のプラザ(距離173km)で90%、軽井沢のプラザー飯山駅(距離104km)で34%でした。東京から軽井沢はかなりの上りになるので、かなり充電の減りが早かったですが、軽井沢から飯山は標高が下がっていくので、意外と充電の減りが遅く、余裕のドライブでした。
EVライフ②(東京都江東区木場〜東京都あきる野市秋川)
2つ目の経路の紹介は、東京都内の秘境と言われるあきる野市秋川にアウトドアと温泉のためのロングドライブになります。
スタートは東京都江東区の木場、スタート時点で96%の充電状況でした。首都高から中央道にわたり、快調に高速道路を進みます。首都高から中央道に入る段階で充電90%とほとんど消費していません。
中央道の八王子の昭島出口から下道に入ることに78%になり、、秋川方面に街中を進んでいきます。秋川域に入ると、道脇に綺麗な川が流れていて、とても景色が良いので景色を見ながら一休み。そこから更に車を進め、秋川上流部の釣り場に到着。この時点で充電は68%でした。
沢釣り、焚き火、バーベキュー、テント休みなどアウトドアを堪能し、森林浴を存分に楽しみ、これだけでも満足度が120%のEVドライブ。でも汗をかいたために、近場で有名な例のスポットへ。
アウトドアの後は温泉、これ鉄板。瀬音の湯は、アルカリ性の高い温泉で肌がツルツルになることで知られています。2022年の温泉総選挙において「うる肌」部門で第1位に選ばれる名泉です。入った瞬間から肌の表面がウルっとするのを感じるほどの浄化力。5分と入るだけで、ツルツルもちもちの肌に大変身。アウトドアの汗を流せ、肌もツルもちになり、大満足でした。また「瀬音の湯」に名前負けしない素晴らしい露天風呂。目前には森と小川が見え、川のせせらぎ、鳥、虫の音色が重なりあい、「ぼく夏」を思わせるワクワク感と哀愁感がたまらない空間です。
さて、帰路は行きと同じく下道で八王子付近まで行き、中央道から首都高を渡り、木場の出口とドライブを楽しめました。木場の出口を出た時の電気自動車の電池の残量は49%でした。あれ、もう1回同じ工程を行けるのではないでしょうか。
さて今回では東京の木場から秋川上流部の往復で148kmの旅になりました。ドライブでは1回も充電することなく、出発時の充電量96%が到着時は49%でしたので、満充電(100%)あたりで実際の走行距離は302kmになりました。道が比較的に平坦で、安定的な走行ができたからと思います。一方、行きと帰りでは電池の消費量はかなり異なります。同じ74kmの道でも、行きは28%の消費、帰りは19%の消費で帰ってくることができ、行きと帰りの電気の消費量は約1.5倍異なります。これは木場と秋川の標高の違いの影響が大きいと感じていて、木場の標高4mに対して、秋川上流部では標高344mなため、行きは340mのぼり、帰りは同じ分だけ下ったので、この差が出たのだと思います。進行における標高の違いが大きくなければ、wltcの航続距離が332kmの車において、日産リーフでは300km強は実際に走れるのだろうと思います。
電気自動車(EV)のメーカー・種類
次に電気自動車(EV)のメーカーや種類について紹介していきます。
電気自動車(EV)のメーカー
電気自動車(EV)を販売しているメーカーは国によって異なります。例えば、中国メーカーで電気自動車(EV)を販売しているメーカーは多数いますが、日本で電気自動車(EV)を販売しているメーカーはBYDの1社のみです。日本で電気自動車(EV)を販売しているメーカーの数は22社で、国別にまとめると次のようになります。
■電気自動車(EV)を販売している日本メーカー
日本で電気自動車(EV)を販売している日本メーカーは、HWE、スバル、レクサス、トヨタ、マツダ、日産、三菱、FOMM、ホンダの9社になります。
■電気自動車(EV)を販売している韓国メーカー
日本で電気自動車(EV)を販売している韓国メーカーは、ヒョンデ(ヒュンダイ)の1社になります。
■電気自動車(EV)を販売している中国メーカー
日本で電気自動車(EV)を販売している中国メーカーは、BYDの1社になります。
■電気自動車(EV)を販売しているドイツメーカー
日本で電気自動車(EV)を販売しているドイツメーカーは、Audi、フォルクスワーゲン、BMW、メルセデスベンツの4社になります。
■電気自動車(EV)を販売しているフランスメーカー
日本で電気自動車(EV)を販売しているフランスメーカーは、プジョー、シトロエン、DSの3社になります。
■電気自動車(EV)を販売しているイギリスメーカー
日本で電気自動車(EV)を販売しているイギリスメーカーは、ジャガーの1社になります。
■電気自動車(EV)を販売しているイタリアメーカー
日本で電気自動車(EV)を販売しているイタリアメーカーは、fiatの1社になります。
■電気自動車(EV)を販売しているスウェーデンメーカー
日本で電気自動車(EV)を販売しているスウェーデンメーカーは、ボルボの1社になります。
■電気自動車(EV)を販売しているアメリカメーカー
日本で電気自動車(EV)を販売しているアメリカメーカーは、テスラの1社になります。
電気自動車(EV)の種類
日本で販売している電気自動車(EV)の種類は、2023年現在で約113車種(同じリーフでもモデルが別のものは、異なる車種としてカウント)になります。電気自動車(EV)の全車種のラインナップはこちらをご参照ください。
電気自動車(EV)のボディタイプ
電気自動車(EV)は新しいタイプの車のため、従来からのガソリン車に比べて、ボディタイプのバリエーションは多くはありません。現在、日本で販売されている電気自動車(EV)のボディタイプは次のとおりです。
販売されているEVのボディタイプ
軽タイプ、コンパクトカー、セダン、クーペ、ハッチバック、SUV、トラック
販売されていないEVのボディタイプ
ワンボックスタイプ、(スライドドアタイプ)
新しい技術を知って、電気自動車を身近に使用しよう!
本記事は「電気自動車とは?初心者でも出来る超簡単な見分け方も紹介!」について紹介しました。
電気自動車はガソリン車に比べると時代が短く、不明な点も多いと思います。
本記事が電気自動車について知るキッカケになれていたら嬉しいです。
また、当サイト内では、SDGsに関するさまざまな情報を発信しているので、持続可能な未来づくりに貢献したい場合にはぜひご参照ください!