投稿日:2023-03-21  更新日:2024-01-10

【2030年】普及しない?電気自動車(EV)の今後・将来予測

こんにちは、EVライフ編集部です。

「電気自動車(EV)が話題だけど、本当に電気自動車(EV)の時代は来るのだろうか?充電インフラも充電時間の問題もまだまだなんじゃないか。。。うーん、今乗り換えて、やっぱり世界的にガソリン車になってしまったら辛いし、、、」
こんな疑問に答えます。

結論からいうと、電気自動車(EV)のシフトは揺るぎがなく、2030年でおおむね50%を超えることが想定されます。また、EV後進国の日本においても着実にEV比率は増え、2030年には20%を超えると想定されます。
世界中で電気自動車(EV)が推進される背景や普及率、日本国内での電気自動車(EV)の普及に向けた課題や、主要メーカーである日産、三菱、トヨタ、さらに後進のダイハツなどや新規参入のソニーなど国内メーカーの動向を解説していきます。

本記事は「【2030年】普及しない?電気自動車(EV)の今後・将来予測」について紹介します。

電気自動車(EV)の普及の現在地と将来予測

はじめに、世界における電気自動車(EV)の普及の現在地と将来予測について紹介します。


「脱ガソリン」が広がる背景

なぜ、電気自動車(EV)へのシフトが進んでいるのでしょうか。その背景は、気候変動対策であり、地球温暖化の主な原因である二酸化炭素(CO2)の排出量を抑制し、脱炭素社会を目指す動きのためです。
世界各国では気候変動による甚大な被害がすでに散見され、陸繋ぎで課題を認識している国々では、CO2増加による気候変動の影響は身近に感じています。
そうした中、ガソリン車と比べると、電気自動車(EV)は走行中にCO2を排出しません。また、生産から走行までの全CO2排出量においても、2023年現在に販売されているガソリン車と電気自動車(EV)を比べると、電気自動車(EV)の方が平均的にCO2排出量が少ないことが明らかになってきています。
こうした電気自動車(EV)の特性から、電気自動車(EV)シフトする動きが活発化しています。

電気自動車(EV)普及の世界的動向

電気自動車(EV)の普及に向けて世界的な電気自動車(EV)推進の動向を整理します。

✔︎新車販売台数上位6カ国
中国:2035年までに全ての新車販売でガソリン車を禁止
米国:CA、NYを含む12州で2035年までにガソリン車の新車販売を禁止
日本2035年までにガソリン車の新車販売を禁止
ドイツ:2035年までにガソリン車・ディーゼル車の新車販売を禁止(e-fuelを除く)
インド:2030年までに販売台数の30%をEVとする
フランス:2035年までにガソリン車・ディーゼル車の新車販売を禁止

世界において特に新車の販売台数の多い上位6カ国の規制予定は上のとおりで、多くの国において、基本的にガソリン車の販売を禁する方針を出しており、全ての国において電気自動車(EV)の比率の向上が打ち出されており、おおむね2035年以降に新車販売できるのは電動車のみであり、電気自動車(EV)化主体になることが予測されます。


✔︎環境先進国
ノルウェー:2025年までにガソリン車・ディーゼル車・HV車・PHEVの新車販売を禁止
スウェーデン:2030年までにガソリン車・ディーゼル車・HV車・PHEVの新車販売を禁止
オランダ2030年までにガソリン車・ディーゼル車・HV車・PHEVの新車販売を禁止
イギリス:2030年までにガソリン車・ディーゼル車・HV車・PHEVの新車販売を禁止
アイルランド2030年までにガソリン車・ディーゼル車・HV車・PHEVの新車販売を禁止

世界において特に環境先進国として知られる北欧に位置する国々では、とても精力的な電気自動車(EV)化に向けた規制を発表しています。上に挙げられた全ての環境先進国において、ガソリン車だけでなく、ディーゼル、さらには電動車としても認められるハイブリッド車(HV車)やプラグインハイブリッド車(PHEV)においても販売禁止規制の対象とし、徹底的に脱石油・脱石炭資源からの方針で進めており、すでに劇的なEV化が進行中で、車のシェアが大きく電気自動車(EV)化する予測で進行中です。


✔︎新車販売台数上位5メーカー(連結ベース)の方針
フォルクワーゲン2030年までに電動化率50%
トヨタ2030年までに電動化率約67%(800万台)
GM2035年までに全モデル100%を電動化
ステランティス2030年までに電動化率100%@欧州
フォードモーター2030年までに電動化率40%

また、新車の販売台数の多い上位5メーカーの動向もおおむね間違いなく電動車の比率が大きく向上します(最低でも電気自動車(EV)率が40%以上)。全方位線略として知られるトヨタにおいても当初予定していたEV戦略において2021年に大幅に内容を修正し、2030年までに全新車販売台数1200万台のうち、800万台を電動車にする方針に更新しています。それだけ、2010年後半において、世界的に大幅に電動車の性能やコストが改善され、電気自動車(EV)のシェアが伸びたため、各メーカー共、EV化に対応することが求められています。

✔︎BEV推進5大メーカーの方針
テスラ2022年すでに100%BEV(ピュアEV)
BYD2022年すでに100%EV化達成(ガソリン車生産終了)
GM2035年までに全モデル100%を電動化
フォルクスワーゲン2030年までに電動化率50%
Hyundai2030年までに電動化率30%

新車販売台数のうち、BEV(ピュアEV)における2022年上期の上位5メーカーにおいて、トップ2であるテスラ、BYDについては2023年現在ですでに100%電気自動車(EV)化を達成しています。また、続く企業群においても高い比率で電動化へのシフトを発表しており、各メーカーとも年間数百万台のオーダーでの電気自動車(EV)の販売を発表しています。これらの状況から、2030年ないし2035年に向けて大幅な電気自動車(EV)シフトが進む予測はほぼ疑いなく進むとされています。

以上のとおり、各国の規制、自動車メーカーの方針の双方から、2030年から2035年を目処に脱ガソリン車の社会が実装されていくことが予測されています。

日本で電気自動車(EV)の普及が遅れている理由

世界では電動化が大幅に進む一方、日本の新車販売における電気自動車(EV)の割合は2022年でわずかに1.7%程度と低めです。日本で電動化がなぜ進まないのか。日本で電気自動車(EV)の普及が遅れている理由を次にまとめます。

✔︎日本で電動化が遅れている理由

①環境性:電気自動車(EV)は本当に環境に良いのか?
②電気供給:電気自動車(EV)の普及で電気供給がなくなるのでは?
③インフラ:日本人気質では充電時間は苦痛?
④既存産業:ガソリン車からの転換が難しい?
⑤環境意識が低い:世界的に環境問題に対する行動が消極的

①環境性:電気自動車(EV)は本当に環境に良いのか?

日本で電気自動車(EV)が拡まらない理由の1つは環境性に対する疑問の声が挙がっていたからです。

電気自動車(EV)は走行時ではCO2を排出しませんが、電気自動車(EV)を作るときはガソリン車より多くのCO2を出しますし、電気自動車(EV)に充電する電気自体が石油由来であれば、ガソリンで走るのも、石油から作られた電気で走る電気自動車(EV)でも脱炭素の観点では類似してしまいます。

こうした理由から電気自動車(EV)が台頭してきた当初は「電気自動車(EV)は、製造から走行までのCO2排出量で考えると本当はエコではない」という結論が出されていた時代もありました。一方、この結論には当時の電気自動車(EV)の生産性の未熟さや充電する電源の電力構成(再エネ比率の当時の低さ)などの前提がありました。その当時から月日が経ち、電気自動車(EV)の生産性の向上や各国の電源構成の再エネ比率の増加により、製造から走行までのCO2排出量はガソリン車に比べて電気自動車(EV)の方が平均的に低くなる事実が見えてきたのです。


上の図はMIT-Lab.が提供する各種車と二酸化炭素排出量の関係を表したグラフになり、点の色分けは次のとおりです。

・黒:ガソリン車
・グレー:ディーゼル車
・ピンク:ハイブリッド車(HV)
・深紅:プラグインハイブリッド車(PHEV)
・黄色:電気自動車(BEV)
・水色:燃料電池車(FCV)

縦軸がライフサイクルにおけるCO2排出量の総和になっており、充電時に使われる電気のCO2排出量が450gCO2eq/kWh(アメリカ平均値)になっています。この条件においては、すでに群毎に大別することが概ねでき、ガソリン車は電気自動車(EV)とk比べて平均的に2倍以上の二酸化炭素排出量になることが分かります。また、平均的には電気自動車(EV)の群(薄黄色の囲い)が全体的に低めに出ていることが、全種類をマクロ的にみると電気自動車(EV)のCO2排出量が低いことが分かります。


次に、電気自動車(EV)の充電に使われる電源構成が100%再生可能エネルギーになり、二酸化炭素排出量が0gCO2eq/kWhになった場合をシミュレーションしてみると、明らかに電気自動車(EV)がCO2排出量が低くなり、ガソリン車と比べると平均して5〜6倍でCO2排出量を抑えられることが分かります。

なお、日本における電気のCO2排出量が440gCO2eq/kWh(2019年度)になるので、概ね2つ上のグラフと同等の分布になり、日本の電源構成においても電気自動車(EV)が優位であることが分かります。

以上から、自動車のLCAにおけるCO2の排出量において、現在でも電気自動車(EV)の優位性は明らかになってきています。日本で電気自動車(EV)が普及しにくい理由の1つにあるエコ性への疑念は、電気の電源構成を変えて再エネ比率を上げることで十分に解消されます。

②電気供給:電気自動車(EV)の普及で電気供給がなくなるのでは?

日本で電気自動車(EV)が拡まらない2つ目の理由は、電気供給不安に対するネガティブキャンペーンです。電気自動車(EV)が台頭した当初、この問題は大きく取り上げられました。電気自動車(EV)の場合、系統から電気を使って充電するために、EV利用者が増えるにつれて系統で使える電気量が減ってしまい、大半が電気自動車(EV)になったときに発電量が追いつかない、といった課題です。

2020年12月、日本自動車工業会(JAMA)会長の豊田章男氏(トヨタ自動車旧社長)は記者会見で、国内で保有する全自動車約6200万台が電気自動車(EV)になった場合、電力ピーク時の発電量を現状の15~20%増強する必要があり、その増強量は原子力発電の場合で10基、火力発電なら20基に相当するという試算結果を述べた。

たしかに、今現在、国内にある全自動車6200万台が一夜にしてすべてEVになったら、電気供給に関する問題が生じることが想定されます。一方、社会ではそんなことは起こり得ません。現状、世界におけるEV生産能力は年間で1000万台前後であり、世界中の全EVメーカーのEV全てで日本国内で保有される車6200万台をEVに置き換えようとしても先6年程度はかかります(実際、全EVメーカーの電気自動車(EV)を日本だけが独占することは不可能なため、実際はさらに年月がかかります)。

一方、火力発電は日本全体で450基前後あり、20基の増量が必要な場合、約5%の設備の増強にあたります。国内の全車をEVに置き換えるのが早いか、火力発電を5%増築するのが早いか、極端な例になりますが、こうして考えてみると電力供給インフラの体制を整えるには十分な時間があることが分かります。

インフラはニーズや政策に合わせて整備されていきます。電気自動車(EV)の普及には生産能力の観点からも年月がかかるため、その期間に徐々にインフラも整えていく動きが予測されています。

③インフラ:日本人気質では充電時間は苦痛?

日本で電気自動車(EV)が拡まらない3つ目の理由は、ガソリン車と比べたときの補給時間の長さです。ガソリン車の場合、ガソリンの補給自体は1-2分程度で完了するため、燃料補給時間を問題視する声は上がりにくい現状です、一方、電気自動車(EV)の場合、電池の容量にもよりますが、概ね100kmの走行に必要な電力を充電するために15分程度(50kWの急速充電の場合)かかりますので、ガソリン車と比べると10倍以上の時間がかかります。

日本人は時間に正確な電車の運行など、世界的にも見ても時間に厳しい国民性であることが知られています。そのため、充電時間の長さは他国と比べると非常に苦痛に感じる可能性が高くなります。

一方、電気自動車(EV)の充電性能は年々改善されてつつあります。現在、日本で主流の急速充電は40〜50Whになります。一方、EV先進国のアメリカ、韓国の電気自動車(EV)では、250kWに対応した車種が続々と登場していて、100km相当分の電気を2分半で充電できる性能まで向上してきています。

また、最新の充電規格では最大で900kWまでが想定されており、当出力レベルになると、100km相当分の電気を40秒程度で充電できるようになります(満タンまでで3〜5分程度)。この充電速度感になるとガソリン車の補給感と同等なレベルになり、ガソリン車の補給速度でないと絶対に許せないユーザーにとっても利用しやすい性能になってくると予測されます。

④既存産業:ガソリン車からの転換が難しい?

日本で電気自動車(EV)が拡まらない4つ目の理由は、ガソリン車産業からの転換の難しさです。

日本はガソリン車の販売にて、世界的に大きな成功を納めました。各国は日本が築き上げたガソリン車市場のブランドの強さ、高性能性から、シェアをなかなか増やすことができていませんでした。一方、環境規制に伴う電気自動車(EV)という新しいカテゴリーの台頭により世界各国がEV領域において新規のシェア獲得が可能になりました。一方、日本は従来からのガソリン車市場でのシェアがあったため、数年前までは電気自動車(EV)に取り組まなければ売上が立たない訳でもなく、また既存事業で多数の雇用を守っていたために電気自動車(EV)に舵を切るタイミングが世界よりも遅くなりました。

電気自動車(EV)は、ガソリン車と比べると部品数が少なくなります。また、ガソリンステーションのようなSSがなくとも、自宅の充電器があれば車を充電できるために、多くの雇用において変換が求められます。

雇用がない地域に、新しい雇用を整えていくことはスムーズに進みますが、既存の雇用に対して新しい雇用に転換する際は摩擦が生じやすく時間もかかります。2023年現在では多くの日本メーカーにおいてもEV戦略を打ち立て、脱ガソリン車に向けた事業推進に向けて走り始めましたが、このシフト開始の遅さが、EV市場における日本メーカーの国際的な存在感の低さ、さらには日本国内におけるEV普及率の低さに繋がっている要因の1つです。

⑤環境意識が低い:世界的に環境問題に対する行動が消極的

日本で電気自動車(EV)が拡まらない5つ目の理由は、日本人の環境問題に対する購買変容の意識の低さです。

「たとえ値段が高くても、環境のためにエコな製品を選びますか」、この問いに対して、あなたはどのように感じるでしょうか。2021年、電通は「ソーシャルグッドに関する世界的な意識調査」を世界5各国で実施しました。

当調査におけるソーシャルグッドとは、社会に良いインパクトを与える企業の活動や製品を支援する姿勢を指し、二酸化炭素の排出抑制、プラスチックごみ削減、ジェンダーや人種の平等推進などのテーマが近年、世界的に注目され、その意識を調査することで、国別の社会への良いインパクトに対する行動の選び方の特性を知ることができます。

下の表は、ソーシャルグッド意識を日本、イギリス、アメリカ、中国、インドの5カ国でアンケートした結果になります。


電気自動車(EV)に関連の高い項目では「⑤環境負荷が低い商品や、フェアトレードの商品は多少高くても選ぶ」という項目において、日本は5カ国平均の66%より極めて低く、39%しかないことが分かりました。一方、電気自動車(EV)の普及で台数、シェア的に大きな存在感を示す中国では81%が値段よりも環境負荷への配慮をする傾向があり、環境意識に対する差異を見てとることができます。

このように日本人は環境性よりも経済性を取る傾向が他国より遥かに強い意識自体が、車体価格の上がる傾向にある電気自動車(EV)の普及の妨げになっています。

まとめ:電気自動車(EV)シフトを受け入れ、スムーズに導入しよう

本記事は「【2030年】普及しない?電気自動車(EV)の今後・将来予測」について紹介しました。

改めて記事の要点をまとめます。
各国の規制、自動車メーカーの方針の双方から、2030年〜2035年を目処に脱ガソリン車が実現され、電気自動車(EV)社会が実装されていくことが予測される。
・電気自動車(EV)の環境性はすでにガソリン車比で優れており、再エネ率の増加でさらにい優位性は高まる
・EVシフトによる電力供給量の増加は認められる一方、最低でも6年以上の移行期間がある
・日本は世界に比べて環境負荷より金額を優先する思考が強いため、電気自動車(EV)の本体価格が高い間は広い普及は難しいことが予測される

以上、電気自動車(EV)の予測に関する内容でした。
読んでくださりありがとうございました。
それでは、良いEVライフを!

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